超硬ドリルとは
超硬ドリルとはダイヤモンドの次に硬い人工金属のことです。
超硬ドリルの母材となる超硬合金の製法はタングステンと炭化タングステンに、結合材としてコバルト、ニッケル、その他目的に応じチタン、タンタル等を混合しプレスします。
これ を1450℃から1500℃の高温で焼結処理(焼結:加圧成形した圧粉体を焼結炉で焼くことにより粒子結合させる)することにより超硬合金が完成します。
1857年にツイストドリル(ねじれドリル)の形状が発明されてから現在に至るまで、超硬合金ドリルを中心に目覚ましい進歩を遂げています。穴あけ工具の中で、一番多く利用される切削工具がドリルです。
超硬ドリルは、切削速度を上げることが出来るため能率の高い加工が可能で、耐磨耗性に優れ、ハイスに比べて5~10倍以上の長寿命が得られます。このため、工具交換時間も大幅に節約でき、近年多く使われています。
工具の剛性が高く穴の加工精度も良好で、切削速度を上げることが出来るため、ハイスに比べて仕上面粗さも向上します。ハイスでは削れないチタン合金、インコネルや高硬度材料などの難削材の加工も可能です。
超硬ドリルのメリット・デメリット
メリット
・摩耗しにくい → 長寿命
・長持ちするので工具交換回数が減る → 時間短縮
・高温での硬度低下が少なく、加工速度を上げることができる → ハイスピード切削
・剛性に優れている → 高精度
デメリット
・ハイスに比べると高価格
・ハイスに比べると靭性が低く、欠損や折損が起こりやすい
超硬ドリルの種類
・ソリッドドリル
刃先からシャンク部まで一体の超硬合金でできているドリル。
・ロウ付ドリル
先端部分や切れ刃のみに超硬合金を使用するドリル。ロウ付することでコストを低減することができる。
・ツイストドリル
溝がねじれているドリル
・ストレートドリル
溝がねじれていないドリル
・段付ドリル
異なる径の段が2つ以上ついているドリル。段付き穴や面取りの加工を1工程で行うことができる。
・油穴付ドリル
ドリルの内部にオイルホールとよばれる穴が通っており、切削油を刃先に供給できるドリル。切削油が加工点に届くので、刃先の冷却、切りくずの排出に効果がある。
超硬ドリルの紹介
3枚刃ドリル
2枚刃のドリルに比べ剛性があり、高送りで切削加工が出来ます。 詳細はこちら |
コーティング付ドリル
コーティングされていない通常の超硬エンドミルと比較すると、5~10倍に工具寿命を延ばし2~4倍の切削速度でテーブル送りを上げて高能率化が図れます。 詳細はこちら |
超硬段付ドリル
通常の多段の重なり合う穴あけ加工では、各段の外径ごとにドリルを用意して切削加工工程を行なう必要があります。段付ドリルを使うと複雑な多段形状の加工を一工程で行うことができ、工具コストとリードタイム短縮を一度に図れます。主にタップの下穴加工に最適です。 詳細はこちら |
サブランドドリル
サブランドドリルは大径に小径部の溝を持っているために小径を大径部にまで作りだすことで再研磨性に優れています。 詳細はこちら |
ダブルマージンドリル(ガイド付きドリル)
通常のドリルは、2枚刃で切削します。 ガイド付ドリルは、2枚刃+2ガイドの擦り面を持たしてバニシング効果によって面粗度を向上でき、直角方向、斜め方向に穴がある交差穴の加工にガイド案内作用でドリルの逃げを防止できます。 バニシングドリル加工に近い面相度が得られ 精度の要求される穴加工を高送りと高い穴径精度の両立を実現します。 |
精密なホーニング付ドリル
ホーニングとは、切削初期のチッピングやカケを防止するために被削材が当たる切れ刃部に、-20°の面取り加工を施すことです。 ドリルの刃は非常にシャープになっているので被削材をホーニング無しで切削加工するとチッピングやカケを引き起こしそこから大きな破損につながります。 アルミなどの比較的軟らかい金属は、場合によってホーニングは不要で大丈夫ですが、 炭素鋼や合金鋼などの重切削では、切れ刃に大きな切削抵抗を受けるので切削熱で軟化しチッピングやカケが発生して切削できなくなります。 ホーニングは、チッピングやカケを起こす刃部を精密に面取り加工することで快適な切削加工が加工になるのです。 被削材に始めに当たる刃部ですので精密な面取りホーニング加工が必要で、 ホーニング加工の良し悪しで工具性能と工具寿命が大きく変わってきます。 弊社では、ホーニング加工に長けた社員が顕微鏡を使用して丁寧に1本1本仕上げ加工をしています。 |
オイル穴付仕様
深穴加工では、切りくず排出が困難になり切削油剤が加工点に届かなくなります。オイル穴付ドリルは、切削油剤が先端から勢いよく出て切りくずが高圧の切削油剤の戻りと一緒に排出されるので切りくず詰まりがなく鋼に対して高速で穴あけが可能です。 詳細はこちら |
深穴用ドリル
切粉排出を効率的に考えて深穴加工が出来るドリルで芯厚を特に厚くして曲りに強くし、剛性を高めた改良型高剛性ドリルです。2~5回のステップを踏むことなく切り粉詰まりで工具の破損が起こらず深穴が可能です。 |
コアドリル
ドリル加工後の穴を拡大する穴あけ工具として使います。リーマの下穴加工に最適で2~4枚刃を有するドリルで溝の深さが浅く、剛性があり、下穴精度でリーマ仕上げ精度も大きく変わります。 |